ジオン軍階級章
 
 戦場において敵戦力を効果的に削減するには、指揮官を狙うのが一番である。指揮官を失った部隊は組織的な戦闘が困難になるためだ。A.D.1900年代前半頃までの上級軍人は、前線であってもそれと分かる軍服を着用することが多く、真っ先に狙われた。近代的な軍服が規格軍服となった理由の一端が、外見からの階級(役職)看破防止にあったことからも理解できよう。規格軍服、特に野戦服の採用により現在我々がよく知る識別票が軍ごとに考案された。それが階級章である。宇宙世紀でも階級章は受け継がれ、連邦軍では星と線で表されるシンプルな階級章が採用されている。
 公国軍でも階級章は採用されているが、通常の軍服では我々が想像する小さな階級章にお目にかかることはない。公国軍の胸部には大きく階級章が刻まれているのだ。それも鳥(翼)をモチーフにしたと思われる、凝ったデザインのものだ。しかも、佐官と尉官のみに許される第3種戦闘軍服には階級章を標したマント(黒地に黄色の階級章という、目立つデザイン)が付いている。合理的に考えればナンセンスではあるが、このような復古調のスタイルが、古風とも思える公国軍の精神面を支え、プライドにも繋がっているのであろう。さすがに各階級専用のノーマルスーツは作られず、襟元に小さな階級章を付けるだけである。ノーマルスーツの階級章も、軍服と同じく翼をモチーフにしたデザインであった。
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